AIフィギュアの流行 ― SNSを席巻する“自分をフィギュア化する”文化
- newswriter
- 6 日前
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2025年、SNSを中心に「AIフィギュア」ブームが爆発的に広がっている。これは、自分や友人の写真をAIに読み込ませ、まるでアクションフィギュアやコレクターズトイのように加工された画像を生成する遊びだ。完成した画像はブリスターパック入りのおもちゃ風に仕上がり、名前やアクセサリまで設定可能。誰もが“自分専用フィギュア”を手軽に作れることから、XやInstagramには数多くの投稿が並び、トレンドを独占するまでに至った。
このムーブメントの背景には、ChatGPTやStable Diffusion、Midjourneyといった画像生成AIの進化がある。特にGoogleのGemini 2.5 Flash AI(通称Nano Banana)は、リアルな立体感とパッケージデザインを短時間で生成できるとして人気を集めている。使い方はシンプルで、顔写真をアップロードし「1/7スケールのフィギュアとしてブリスターパックに入れて」といったプロンプトを入力するだけ。数分で完成した画像はSNS映え抜群で、多くのユーザーが「理想の自分」を世界にシェアしている。
なぜここまでバズったのか。その理由のひとつは、ノスタルジーと自己表現の融合にある。子どもの頃に憧れたおもちゃのフィギュアが、大人になった自分自身の姿で再現されるという感覚は新鮮で、感動を伴う体験として広まりやすい。また「おしゃれ版」「ホラー版」などテーマを変えられる拡張性も、ユーザーの創作欲をかき立てている。
一方で課題もある。写真をAIにアップロードする以上、プライバシーや肖像権の扱いは常にリスクを伴う。さらに、生成されたフィギュアは現実よりも“理想化”される傾向があり、「SNSでの自己像と現実とのギャップを助長するのでは」という懸念も指摘されている。Tom’s Guideなどの海外メディアでは「遊びとしては面白いが、データ利用の透明性を確認すべき」と警鐘が鳴らされた。
それでも企業やマーケティング分野では、この流行を活かした新しい取り組みも始まっている。ブランドのキャラクターや商品をAIフィギュア化し、ユーザーと“並んで写真に収まる”キャンペーンが構想されているのだ。AIフィギュアは単なる遊びにとどまらず、広告や自己表現の新しいスタイルとして確立しつつある。
SNS時代における「自分の見せ方」は、もはや写真や動画だけにとどまらない。AIが作り出す“もうひとりの自分”をどう楽しみ、どう扱うのか――AIフィギュアの流行は、私たちの自己表現のあり方に新たな可能性と課題を突きつけている。
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